ヒトラーとユダヤ人2011-01-27 23:46

著者 大澤武男
発行 講談社 1996-05-20 第1刷 2000-02-25 第10刷
価格 680+税 (レイナース 100)
ISBN4-06-149249-7

「ユダヤ人とドイツ」の続編のような感じだが、今回はヒトラーの軌跡に焦点を当てている。
600万人もの人々が機械的に殺された事実が、やはり理解できない。著者もヒトラーやナチスが何故これほどまでに全力で非道を行ったのか理解できないでいるようだ。隣人だった人々が、徐々に、1929 年の株式暴落が決定的な刺激となり、さらに第二次世界大戦の混乱の中で過激に、それでいて秘密裏に絶滅政策が実行されていく。何故できたのだろう。
少なくともナチスの構成員にはホモサピエンスがただ一つの種であるということは理解できていなかったように思える。遺伝子プールの考え方がなかったのはしょうがないとして、雑種強勢とかの知識もなかったのではないだろうか。そして進化論を曲解した思想に染められた。狂信以外のものではない。
諸悪の根源を「ユダヤ人」のせいにして政策を実行するのはありがちなパタンだと思われるが、さらに絶滅を実行してしまうのはやはり狂気であり、その狂気が一つの国を包んだのはいろいろなめぐり合わせが重なったひどく奇異な現象なのだと思う。




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